« 2014年5月 | トップページ | 2014年7月 »

2014年6月

2014年6月27日 (金)

記譜(Notation)について

みなさんは自分で楽譜を書こうとしているときに、分かっているはずだったのに、「あれ、これってどう書けば良かったんだったっけ?」と迷ったことはありませんか?
たとえば、五線の真ん中の線を上下する音の連桁は、上向きに付けた方がいいのかな、下向きかな? 音が2度で重なったときの和音では、どっちの音をはみ出させるんだろう?など、小さなことですが、どっちの方が良かったっけって迷うことはありませんでしたか?

たとえば、こんな場合...

Blogex86b2

「5構成音の和音で中央に来る音符のタイは、その音符の譜表上での相対位置に応じてふくらませる。上の例の左端(A)では、中央の音符が譜表中央にあり、よって、そのタイは下にふくらませる。中央の例(B)では、中央の音符が真ん中の線よりも上にあり、よってそのタイは上にふくらませる。ただし、5音和音の中央の音符がその和音本体の左側に位置する場合には、右端で示すように、符頭との衝突を回避できるようにタイをふくらませる。」
       [Music Notation -A Manual of Modern Practice- by Gardner Read]

浄書 ソフトが主流になった今は、ソフトが自動的に判断してくれるので、あまり考えなくても良くなったかもしれませんね。

楽譜制作の仕事を始めた頃、こんな「ほんのちょっとしたこと」でよく迷いました。「どちらでもいいような気がする。でも、どちらかがより適切なはずだと思う・・・」
記譜(Notation)の本が欲しくて、楽譜屋さんへ行って探してみても、音楽を学んだ人なら当然知っているような内容を羅列した本ばかりで、記譜について詳しく書かれている本は全くありませんでした。仕方なく、楽譜を出来るだけたくさん読み比べて、記譜の規則を経験的に学びました。

当社にインターネットがつながったのはいつの頃だったのか、もう覚えていないんですが、実は英語で探せば、記譜の本や記譜について書かれたものはたくさんあるんですね。
2001年にColorado CollegeのHPで見つけた「記譜の規則」が、わたしの初めての教科書になりました(出力したものが、今でもわたしの手元にあります)。
そして、最初に紹介した"Music Notation -A Manual of Modern Practice"が、長くわたしの教科書になっています。
といっても、英語の本を読むのはかなり苦労します。自分で読んでみたけど、はっきり意味のつかめないところも出てきます・・・。幸い、わたしのパートナーは翻訳を生業としているので、協力して訳してもらいました。

ここで得た細かい知識は、今のわたしの大切なものです。
小さなことだけど、自分が迷ったことなど、紹介していきたいなと思います。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2014年6月25日 (水)

ネットワークが会社にやってきた

1992年。
カラオケブームです。

演歌やら和製ポップスやらのカラオケテープ(8トラカセット!)には、歌詞だけのせたのでは格好がつかないからか、五線譜も付属していました。福田楽譜も、その版下の製作のお仕事をたくさんいただきました。

当社が誇る主力兵器は、先日のブログでご紹介した「SCORE-2.0」です。
しかし、この SCORE 君、アメリカ生まれで日本語が不自由。カラオケのひらがな歌詞を楽譜上に並べられません。

さらに、SCORE 君、得意な音楽ジャンルはクラシック。ポピュラー音楽はちょっと苦手。楽譜上に和音のコードを貼り付けるのも得意じゃない。

しかたがないので、しばらくお休みしていただいていた NEC 製日の丸パソコン PC9801 を引っ張り出してきて、レーザービームプリンタを再びこのパソコンに接続。日本語得意なこの PC9801 で歌詞と和音コードとを後処理で(SCORE-2.0がはき出した) EPS ファイルに追加するソフトをBASICで作ってやることにしました。

この結果、版下作成作業の流れは、次のようになりました。

1.  IBM PC/AT 互換機上でSCORE-2.0を走らせ、楽譜をつくる。このとき、歌詞と和音コードは、アルファベット(=ローマ字)で入れてしまう。
2.  できあがった楽譜データが入った EPS ファイルをフロッピーディスクに入れて、PC9801 へと持って行く。
3.  PC9801 上で EPS ファイルを読み取って、そのファイル内の歌詞と和音コードのアルファベットをひらがな歌詞と和音コードに翻訳するソフトを走らせる。できあがった EPS ファイルを Microline (プリンタ)へと送り、日本語歌詞&和音コード付き楽譜版下をプリントアウトする。

この2番目の作業が邪魔くさい。今なら、LANでつながった先のPCへと転送するだけの簡単な作業です。でもこの当時、PC 用拡張 LAN ボードは高価であり、本体のパソコンに匹敵するくらいの値段がついていました。とうてい零細企業が買えるようなしろものではありません(そもそも、MS-DOS パソコンだけではネットワークを組めなかったような...)。
これまた、しかたがないので、Maxlink というソフトを探し出してきました。当時のパソコンにはたいてい設けられていたシリアルポート(RS-232Cポート)をクロスケーブルで相互接続すると、ファイル転送できるよというソフトです。このソフトを走らせた複数台の PC/AT 互換機と一台の PC9801 との間に、シリアルポートの切り替えボックスを挟んで、「なんちゃって手動 LAN」の完成。

Ethernet の LAN が当社にやってきたのは、1995年ごろ。Windows 3.1、IBM-OS2、Windows 95 などのネットワーク対応の OS がでた頃です。それまで、3 年ほどはこの「なんちゃって LAN」がわが社では稼働していました。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2014年6月20日 (金)

たそがれコンサート

大阪には、夏の風物詩があります。日本で一番早い夏祭りである「愛染祭り」?
それも確かに大阪の夏を彩りますが、ここで採りあげたいのは音楽の風物詩です。

「たそがれコンサート」

大阪の方はご存知ですよね。大阪市音楽団を中心に、陸・海・空の自衛隊音楽隊、警察音楽隊、中・高等学校の吹奏楽部の演奏を無料で楽しめるコンサートです。

今年4月、大阪市音楽団は市政改革の民営化の対象になり、大阪市直営音楽団ではなくなってしまいました。それまでは練習場も、大阪市のド真ん中、大阪城公園にあったのに、現在は埋め立て地の上、南港アジア太平洋トレードセンター(ATC)に移り、聴きに行くのにも少し不便になってしまいました。
「たそがれコンサート」は、毎年7、8月の毎週金曜日の夜に練習場のすぐ横にある大阪城音楽堂で開かれていました。60数年前から続いていた、あって当たり前のたそがれコンサートでしたが、「今年はどこでするんだろう。コンサート、あるのかな」と心配していました。
調べてみたら、今年も例年通り、大阪城公園の野外音楽堂で開催するようです。ああ、良かった・・・。

大阪市音楽団は吹奏楽団であり、ピアノ・声楽専攻のわたしとはあまり関係なさそうですが、実は中学生の頃、お世話になりました。
わたしはブラスバンド部に入ってクラリネットを吹いていました。普段は顧問の先生と先輩に教わっていましたが、1年生の夏休みにクラブ全員で、大阪市音楽団の野外音楽堂まで、講習会に通ったことを覚えています。プロの音楽家に教えてもらった経験は、とても大切な思い出です。(その後、学校で貸してもらっている楽器では満足できなくて、自分でお小遣いを貯めて、クラリネットを買ってしまいました。)

当時、昭和40年代には、大阪市音楽団の練習場は天王寺公園(←当時は入園無料でした)にありました。「大阪市音楽団のあゆみ 」を見ると、大阪城公園に練習場を移したのは1981年だそうです。それから30余年を経て、今度は南港へ。加えて、大阪市民の大阪市音楽団でなくなったのは残念だけど、頑張っている大阪市音楽団を見守っていきたいなと思います。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2014年6月18日 (水)

ドナウディ作曲 Perduta ho la speranza(私は望みを失ってしまった)-移調ピースの新譜

移調ピース、新譜のお知らせです。

今回は、ドナウディの「Perduta ho la speranza(私は望みを失ってしまった)」です。
この曲は、ドナウディの作品でも特に有名な「古典様式による36のアリア」のうちの1曲で、「ああ愛する人の(O del mio amato ben)」や「かぎりなく優雅な絵姿(Vaghissima sembianza)」も、この「36のアリア」の中の曲です。

わたしは、学生の頃ドナウディが好きで、よく歌っていました。どの曲も激しい感情を表すような曲ではなくて、細やかな心や揺れ動く心を美しいメロディにのせて、丁寧に伝えている曲だなと感じていました。

「Perduta ho lo speranza」は短調の曲ですが、感情をあらわにすることなく、切々とした美しいメロディに歌詞をのせています。
「私はあなたに会う希望を失ってしまいました。その希望だけで、心を支えてきたのに。既に愛を信じる心をなくしてしまったわたしは、愛のためにどうすればいいのでしょうか。」という詩です。
音域は、「最低音がレ・最高音が♭シ」です。

Id110g

Wanzhe Zhang の演奏です。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2014年6月13日 (金)

ガリ版鉄筆の時代

「ガリ版印刷、鉄筆、ロウ原紙」などの単語をご存じであっても、実際にロウ原紙と鉄筆を使ったことがある方は、このブログを読んでくださっている方の中でも、そう多くはないんじゃないでしょうか。
わたしは、「ロウ原紙と鉄筆」経験組です。小学生のときに、クラスの文集をガリ版印刷で作りました。「自分の書いた文章は、自分で書くこと」と先生に言われ、学校で一人一人、ロウ原紙に鉄筆で書きました。鉄筆で字を書くにはそうとうの筆圧が必要で、普段はきれいに書けるのに、下手な字になって悔しかったことを覚えています。

イニシエ、太古の昔。福田楽譜も、ロウ原紙と鉄筆を使って、楽譜を作る仕事を始めました。
楽譜を書くときに特に大変だったのは、符頭やト音記号、ピアノ譜のカッコなど、黒く塗りつぶさなければいけない部分だったそうです。「長時間、指に力を入れながら書いていると、手が腫れてきて痛かった」と二代目社長(実は、わたしの母なんですが...)が話していました。
Old21_5
この楽譜は、1960年頃 、福田楽譜がまだ「福田プリント社」であったころの楽譜で、ガリ版刷りのものです。
手書きですが、楽譜版下として使える質のものに仕上げようと、丁寧に作っているなあと感心しました。文字も活字ではないけれど、レタリングが、レトロモダンな雰囲気を醸し出していますよね。

Old2_2
1960年代 当時、相愛大学はまだ「相愛女子大学」でした。これは、その音楽学部で使われた楽譜集の表紙です。この作品集には、山田耕筰の作品を林雄一郎氏がコーラス用に編曲したものが、たくさん載せられています。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2014年6月11日 (水)

In fernem Land (はるかな国に)「ローエングリン」より-移調ピースの新譜

移調ピース(オペラ)新譜のご案内です。

「まだ、新譜は出ませんか?」とお問い合わせいただいた方々、長い間お待ちいただき、本当にごめんなさい。これからは出来るだけ間をあけずに、新曲を出していこうと思っています。

今回は、ワーグナーの「ローエングリン」より「はるかな国に(In fernem Land)」です。オペラアリアの移調ピースでは、初めてのワーグナーの作品です。

この曲は、第三幕で歌われる、騎士ローエングリン(テノール)のアリアです。
「あなたたちの近づけないはるかな遠い国に、モンサルヴァートという城がある」という歌詞で、アリアは始まります。「わたしは聖杯によって遣わされた騎士ローエングリンである」と、自分の身分を明らかにする曲です。
音域は、「最低音がミ・最高音がラ」です。
Amw001a_3

ルネ・コロ、1979年の「In fernem Land」をお聴きください。

こちらは、ヨナス・カウフマンのローエングリン(2012年)です。
ローエングリンの心情が伝わってきて、切ない気持ちになります・・・。

ヨナス・カウフマンは、10月に来日公演があるんですね。
神奈川と大阪は、シューベルトプログラムで、東京はシューマンプログラムのようです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2014年6月10日 (火)

福田楽譜の昔のロゴ

ブログネタを探して、ミュージックライターのマニュアルや古い書類が入ったフォルダーなどをごそごそ探していたら、福田楽譜の昔のロゴが入った受領書が1枚出てきました。

Jyuryosho_3
初代社長(実は父なんですが・・・)がデザインしたものだそうです。
昭和30年から40年頃に使っていたみたいです。ちょっとモダンな感じがしますょね。
名前をアルファベットで書いていますが、Fukudaではなくて、Hukudaだったんですね(訓令式ローマ字表記というのだそうです)。
私の知る限り「Fukuda」だったんで、別の会社の名前みたいな感じがします。
最近はロゴのついた書類を使っていないのですが、これを見て、「もう一度、このロゴを使ってみようか」という話しもしています。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2014年6月 6日 (金)

移調ピースのリストにない曲につきまして

「移調楽譜がほしくて、移調ピースのリストを見たけれど、探している曲が見つからない」という曲につきましては、1ページ2000円で、移調をさせていただいています。1ページの基本の小節数は、1段4小節で1ページ16小節程度とお考えください。

お申し込みの方法は、次のようになります。
最初に、移調したい楽譜をFAXもしくはメールでお送りください。
(このときに、「○調に移調したい」または「一番上の音を○○に」などとお書きいただくと、御見積をご連絡するときに内容の確認もできますので、早く仕上がります)
楽譜の原稿を拝見いたしましたら、折り返し、代金と納期をお知らせ いたしますので、お送りいただくFAXかメールに、お名前・ご住所・お電話番号を忘れずにお書きください。
金額等をご了承いただきましたら、お仕事を始めさせていただきます。
納期は、楽譜原稿4ページ 程度 で2日とお考えください。

御見積の時にお送りいただいた楽譜がFAXの場合は、見づらいことがよくあります。ご注文が決まった場合には、楽譜のコピーをご郵送いただくか、原稿のpdfファイルをメールに添付してお送りください。

なお、楽譜版下を作るときにはお客様にも校正をしていただきますが、移調の場合には当社の校正だけとさせていただいております(もちろん、間違いがございましたら、訂正して送りなおします)。この点につきましてはご了承いただきますよう、お願いいたします。

ところで、IMSLP(ペトルッチ・ミュージック・ライブラリー)というサイト をご存じでしょうか。
パブリックドメインになった楽譜を、無料でダウンロード出来るサイトです。
「どんな曲か楽譜を見てみたい」とか「ある曲の楽譜を1種類持っているけれど、他の出版楽譜も見て、楽譜を見比べてみたい」などという場合に、とても便利です。
こちらのサイトでいろんな曲を探してみると、レパートリーが広がるかもしれませんね。もちろん、その楽譜をもとに、移調のご注文をいただければ、よろこんでお引き受けいたします。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2014年6月 4日 (水)

アイリッシュハープ・コンサートのご案内

Irishharp_2
みなさん、この楽器は何の楽器かおわかりになりますか?
ハープ?
そうですね、ほぼ正解です。

この楽器は、アイリッシュハープといいます。
Wikipediaには、「アイリッシュハープは、近代のハープが開発される前は広く用いられた。元々はアイルランドのハープで、12世紀頃から存在していたとされる」と書かれています。私たちが知っているハープ(グランドハープというそうです)と違って、ペダルがないのが特徴だそうです。

今日は、そのアイリッシュハープのコンサートをご案内させていただきます。

7月4日(金)、「小田垣陽子 アイリッシュハープの夕べ~仲間たちと共に~」が、ルーテル市ヶ谷ホール(東京メトロ市ヶ谷駅徒歩2分)で開催されます。
18:30開場、19:00開演、入場料は4,000円(前売りは3,500円)です。
プログラムは、Ⅰ部「朗読と共に」Ⅱ部「フルートと共に」Ⅲ部「声楽と共に」という構成になっています。
Harp0704

Ⅱ部「フルートと共に」では、千秋次郎さん作曲「七つの遠い思い出」が、楽譜出版記念として演奏されます。
現在、福田楽譜では、千秋次郎さんの解説付きの楽譜を制作中です。
楽譜は、コンサートで販売する予定になっています。
この楽譜がみなさまのお目にふれる日 を、楽しみにしています。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2014年5月 | トップページ | 2014年7月 »