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2014年7月

2014年7月30日 (水)

異名同音に替える場合-移調ピースの場合

福田楽譜の移調ピースは、どんな調にでも移調します。
先日「Nessun Dormaを変ト長調(Ges dur)へ移調」のご注文がありました。
変ト長調は♭が6つの調号です。移調してみると、ダブル♭がたくさんつきました。

こういう譜面を渡されると、伴奏者はちょっと困ったな、と思うかもしれません。 初見で弾く場合もあるでしょうし、臨時記号は少ない方が、読む負担も少なく弾き間違いも少なくなります。
さてこういう場合、当社では、お客様にダブルフラットのままにするか、その音に対し異名同音的転換をするか(臨時記号の少ない音に置き換えるか)をお選びいただいています。

異名同音というのは、平均律(※)において、音名は異なるけれど、実際に鳴らした音は同じである音のことを言います。下に2つほど、例をあげます。
Enharmonicex2_2

そして、変ト長調の「Nessun Dorma」は、このように変えました。

  <ダブル♭のままの楽譜>                 <異名同音転換した楽譜> 
Nessun08gesenharm01_2      Nessun08gesenharmdone01_3           

先にも書いたように、臨時記号が少ない方が演奏しやすくなります 。ただ、和音進行や和音の成り立ちを考えたい場合には、異名同音に変えるとわかりにくくなります。
他の調の楽譜をお持ちの場合には、伴奏者の演奏の負担を少なくすることを優先して、臨時記号の少ない楽譜にしていただく方が、よいだろうと思っています。

※「平均律」というのは、1オクターブを12の半音に等分する音律(音響学の理論に基づいて、楽音間の関係をさだめたもの)で、十二平均律ともいう。
 <新訂音楽通論 山縣茂太郎著 音楽之友社より>

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2014年7月25日 (金)

グノー作曲 Ave Maria(アヴェ・マリア)-移調ピースの新譜

移調ピース、新譜のご案内です。

グノーのAve Maria(アヴェ・マリア)です。
J.S.バッハ「平均律クラヴィーア曲集」第1巻の第1番プレリュード(前奏曲)を伴奏に、歌詞はラテン語の聖句「アヴェ・マリア」を用い、グノーが旋律を付けた有名な曲です。
移調ピースの原調は G dur(ト長調)で、音域は「最低音がレ、最高音がシ」です。
Fg002g

ジェシー・ノーマン(Jessye Norman)のAve Mariaは、とても崇高です。

ヘルマン・プライ(Hermann Prey)のAve Maria(1986年)。懐かしい声です。

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2014年7月18日 (金)

昭和廿弐年の福田楽譜

福田楽譜創設期、その事務所は「天王寺区上本町九丁目」に置かれていました。
1926年から約10年間、上本町九丁目に大阪中央放送局(BK:ラジオ放送局)があったそうです。前にもお話ししたように、初代社長(わたしの父)はもともと大阪中央放送局で嘱託として仕事をしていて、放送局の一角を事務所にしていたそうです。

1936年に、BKは馬場町に新局舎を建てて引っ越しました。
引っ越し後、BKの建物(とその店子)はどうなったのでしょうか。
大阪市天王寺図書館のHPには、次のように書かれていました。
- - -
・・・『天王寺区詳細図 昭和22年』には、まだ上本町九丁目に「中央放送局上本町分室」なるものが載っています。桂米朝さんによると、上本町9丁目の建物は戦後貸しスタジオになっていて、1952年ごろここで、レコード用の録音をされたとのこと・・・
- - -
なるほど、昭和22年(1947年)の「天王寺区詳細図」を借り出してみると、「大阪中央放送局」の文字が上本町にあります。
Oldmap01_3
   (地図が禁帯出だったので、白黒コピーしか載せられませんでした)

その当時の上本町九丁目、大阪中央放送局の写真も見つけました。
Oldbk
      (『近代大阪年表-NHK大阪放送局編』より)

二代目社長(わたしの母)の話しによれば、1960年、BKは建物に入っている会社ごと(店子ごと)、近鉄タクシーに土地を売却したそうです。
そして、「福田楽譜」は近鉄タクシー本社の裏手に建っていた木造二階建てに間借りすることになりました。1階と2階に一室ずつの小さな建物で、1階には「放送出版」、2階には「福田楽譜」が事務所を構えていました。

2000年、近鉄タクシーの新社屋建て替えにより、その古い二階建てを取り壊すこととなり、福田楽譜は思い出のある建物から立ち退くことになりました。

現在の事務所は、最初の事務所から徒歩5分くらいのところにあります。
今はもうその場所には事務所の面影は全くありませんが、時々その前を通ると、事務所やそこでの仕事の様子を思い出します。

 

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2014年7月16日 (水)

Summertime(サマータイム)「ポーギーとベス」より-移調ピースの新譜

移調ピース(オペラ)の新譜をご案内します。

ガーシュウィン 作曲、オペラ「ポーギーとベス」より「サマータイム(Summertime)」です。
第1幕で、漁師の妻クララが赤ちゃんをあやしながら歌う子守唄です。

<歌詞(日本語訳)>
夏の暮らしは、たやすい
魚は跳ね、綿の木は高く育つ
お父さんにはお金があるし、お母さんはきれい
だから赤ちゃん、泣かないでね

いつかある朝、あなたは立ち上がり歌い出す
それから羽を広げ、空へと飛び立つでしょう
でもその朝まで、あなたを傷つけるものは何もない
お父さんとお母さんがそばにいるんだから

- - -

音域は、「最低音がファ・最高音がファ or (シ)」です。
(最後の音を高く上げた場合は、シになります)

Afg201h

この曲をオペラのアリアとしてよりも、他のジャンルの演奏で聴いた方もたくさんおられるのではないでしょうか。わたしも初めてこの曲を聴いたのは、ルイ・アームストロングとエラ・フィッツジェラルドの演奏でした。

ルイ・アームストロング&エラ・フィッツジェラルド


オペラ・アリアとしては、レオンタイン・プライスが素晴らしいと思います。

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2014年7月11日 (金)

歌劇「ワリー」より 「さようなら、ふるさとの家よ」

5月のブログで、「Nessun Dorma」 (誰も寝てはならぬ)が映画「テルマエ・ロマエ」のなかで流れていたことを書きました。
そこで使われていたアリアはあくまで映画を盛り上げるための効果的な脇役だったのですが、かつてサスペンス映画でありながら、アリアが主役となっていた映画がありました。ジャン=ジャック・べネックス監督のフランス映画「ディーバ」(1981)です。
もうずいぶん前の公開ですが、当時は一世を風靡したといってもよいほどヒットしたので、覚えておられる方も多いかもしれません。
ひとりの青年が、憧れのオペラ歌手のリサイタルをこっそり録音したことによって事件に巻き込まれる、というストーリーです。その録音した曲が、「さようなら、ふるさとの家よ」です。美しいアリア、バイクでの逃走シーン、一癖も二癖もありそうな登場人物たち・・・。今見てもきっと楽しめると思います。

YouTubeに、映画のワンシーンがありました。

Renee Fleming (ルネ・フレミング)の演奏です。



福田楽譜の移調ピースでも、「誰も寝てはならぬ」に次ぐ人気の楽譜です。

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2014年7月 9日 (水)

童話の本から-昔の原稿

みなさんは、ご自分の「お宝」ってお持ちですか。
わたしは「開運! なんでも鑑定団」のファンで、昔からずっと見ています。
「世の中にはこんなすごいものがあるんだな」と知ることができるのが、好きな理由の一つですが、これが自分の「お宝」だと思うに至るそれぞれの人の理由をかいま見ることができるのが、もう一つの理由かもしれません。

他の人には価値がなくても、自分にとって大事な「お宝」ってあるんじゃないでしょうか。そういう「お宝」が、福田楽譜にもあります(アル、とわたしは思っています)。70年仕事をしてきたのですから、面白いものの一つや二つはあるんですょね。
先日ご紹介したオペラ「夕鶴」のピアノ伴奏譜やミュージック・ライターなどは、福田楽譜の「お宝」です。ミュージック・ライターは事務所の棚に飾ってあり、事務所に来ていただいた方には、「こんなものがあるんですよ!」と見ていただいて、自慢しています。
今回ご紹介するものも、そういう自称「お宝」のひとつです。

Radio01_2
おそらく、昔、BK(NHK大阪放送局)で仕事をしていたころの原稿だと思います。
江間章子さんは、「夏の思い出」や「花の街」、「花のまわりで」の作詞で有名な方です。江間さんの自筆かどうかは分かりませんが、「江間章子 」という名前を見て、「これはお宝だな」と思いました。
ウィキペディアで「ラジオ歌謡」を調べると、次のようなことが書かれていました。
- - -
ラジオ歌謡(ラジオかよう)は、1946年から1962年までNHKラジオ第1放送(JOAK)で放送されていた歌番組である。また、同番組で取り上げられた歌曲を指すこともある。もともとの発案は大阪放送局(JOBK)であった。(...)発案はNHK大阪中央放送局であったが、やがて東京放送局でも放送されるようになり、800曲近い曲を放送した。うち大阪で制作されたのは180である。
- - -

「童話の本から」という詩だけで、楽譜がないのがとても残念です。

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2014年7月 4日 (金)

タイの向き

タイを付けるとき、どちらの方向に向けるか、みなさんご存じですよね。
Tiedir1_3
では、連続2音符の符尾が違う向きになっているときには 、みなさんならどちらに付けますか?
Tiedir2_3

先日、手書きの原稿を見て、楽譜を作っていました。いただいた原稿の楽譜では、上側と下側のタイが混ざっています。当社の浄書ソフトでは、符尾が前後で違う向きにタイを付けるときには、タイは上側につくように最初から設定されています。
でも、その設定を、「下向き」や「開始の符尾に合わせる」と変更することもできるようになっています。
これはどちらが正しいんだろう。本当に上側でいいのかな。

気になったので、記譜(Notation)の教科書で調べてみました。
[Essential Dictionary of Music Notation]では、「符尾の向きの方向が違う場合には、タイは常に上側に付けること」と書かれています。
[Standard music notation practice]や[Music Notation(by Gardner Read)]、[The Harvard Dictionary of Music]には、こういう場合の付け方については書かれていませんでした。
スラーの場合、「符尾の向きが混在したときには、スラーは上側に付ける」ということなので、タイもそれに準じて上側が適切である、と考えておけば良いような気がします。
少なくとも、同じ曲の中では記譜を統一しておくほうが気持ちいいですよねぇ。

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2014年7月 2日 (水)

ポンセ作曲 Estrellita(小さな星)-移調ピースの新譜

移調ピース、新譜のお知らせです。
今回は、メキシコの作曲家ポンセのEstrellita(小さな星)です。

声楽曲としてでなく、バイオリンやギターの演奏で聴いたことがある方も多いのではないでしょうか。優しくロマンティックな曲です。
この曲はずっと、移調ピースにしたいなと思っていました。

<歌詞>
わたしの苦しみを知っている
遠い空に光る小さな星(エストレリータ)
もし彼がわたしを少しでも愛しているなら
降りてきてわたしに伝えてほしい。
わたしは彼がいなくては、生きていけないのだから。

わたしがこの曲と出会ったのは、友人が大学の卒業試験の1曲として、この曲を歌ったときでした。親しみやすく美しいメロディを聴いて、わたしも歌いたいと思いました。歌ってみると、簡単に歌えると思っていたのに、途中で6度上がるところが難しい・・・。

Estrellita2p

人の前で歌う機会はなかったけれど、今でも楽しんで歌っています

Estrellitaを歌った友人は若くして病を得て、「小さな星」になってしまいました。この曲はわたしにとって、彼女の声と演奏を思い出させてくれる大切な曲になりました。

音域は、「最低音がド・最高音がラ」です。

Ep001f

ドミンゴとパールマンのデュエットです。

ジョシュア・ベルの演奏も素敵です。

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