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2014年8月22日 (金)

Caesura (カエスーラ)

皆さん、こんな記号をご存じでしょうか?

Caesura

この記号 (//) は、Caesura(カエスーラ)といって、交響曲の楽譜で見かけることが多い記号です。

福田楽譜に依頼がくるお仕事は歌に関する楽譜が多く、わたしが交響曲の楽譜を初めて作ったのは2000年のことでした(それまで Caesura など見たこともなく、偉そうに「こんな記号ご存じでしょうか?」などと言ってしまった自分が恥ずかしい...)。
そのときのお仕事は、関西のバレエ団からのご依頼で、手書きの「ドン・キホーテ」の総譜からパート譜を作るというものでした。その楽譜は、ロシアがまだソビエト連邦だった時代に、ソ連のあるバレエ団が所有していたもので、ソ連崩壊の際に混乱の中で救い出されてきた楽譜だったそうです。ある縁から関西のバレエ団がこの総譜を手にいれたもののパート譜がなく、公演でこの「ドン・キホーテ」を演じるためには、パート譜を作る必要がありました。
わたしはそれまで、ピアノや歌の楽譜については楽譜をたくさん見ていたのですが、交響曲の楽譜をじっくり見たことがなく、始めは「総譜からパート譜に書き写すだけ」のかんたんな仕事だろうと思っていました。しかし、その楽譜は手書きで見づらく、音の不確かな部分もあり、他の楽器の音と比べながら楽譜を作るという作業が必要になりました。
また、楽譜に表記された記号も、歌やピアノの楽譜では見たことのない記号がいろいろありました。その中の一つが、このCaesuraでした。記号がついた箇所のメロディを頭で追ってみると、息継ぎみたいな気がしたのですが、はっきりしたことはわからないので、調べてみました。

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カエスーラ(//)とは、小さな休止またはテンポの中断である(音の中断を暗示する)。カエスーラの休止は、息継ぎ記号よりもわずかに長いが、フェルマータよりも短い。("Essential Dictionary of Music Notation"より)]
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楽譜は五線と音符で成り立っていて、楽譜の記譜法さえ知っていればどんな楽譜でも簡単に作れそうです。しかし、種類が違う音楽の楽譜は、同じクラシックというジャンルのものであってさえ、知らないことがまだまたくさんあるのだと思い知らされました。
さらに、交響曲の楽譜を作るためには、楽器の特性や交響曲楽譜の規則を知らなければならないことも学びました。

その後、 総譜や現代曲、珍しい楽器用の楽譜を作るお仕事が舞いこむようになってきました。ハープの楽譜では楽しい出会いがあり、そのお話をまたいつかしたいな、と思っています。

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