« 2014年9月 | トップページ | 2014年11月 »

2014年10月

2014年10月31日 (金)

タイとスラーの組み合わせ

同じフレーズの中にタイとスラーがあったとき、どのようにつなぐのが正しいのでしょうか。

まず、前にタイがある場合。
Photo

この場合は、ほとんど誰もがタイの前側の音からつなぎますよね。
では、タイが後側にある場合はどうでしょう。
たとえば、こんな場合。
Photo_2

タイの前側の音につないだ楽譜もありますが、記譜として正しいのは、タイの後側の音につないだもののようです。

Music Notation (by Gardner Read)には、こう書かれていました。
「タイで結んだ音符で終わる楽句(passage)にスラーをかけるときには、スラー記号は、タイで結んだ前側の音符までで終わるのではなく、後側の音符まで伸ばさなければならない。 この規則を支配する原則は明瞭である。すなわち、タイによって音を伸ばさなければならないのであれば、歌い手や管楽器演奏者の息継ぎ、弦楽器演奏者の弓使いは、その最初の音で止めることはできないからである。」
この「原則」はもっともであり、彼の説にしたがった記譜法がもっともじゃないかな、と私は考えています。

ただ、後側にタイがいくつも付いている場合には、前の音につないだ方がわかりやすいとも思います。

2_2

正しくてもわかりにくい楽譜では、楽譜本来の目的からはずれてしまいます。
「まず正しい基本に則る。でも、場合によっては臨機応変に」というのが大切じゃないかな、と考えています。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2014年10月24日 (金)

黒いアネモネ

十数年前、大学の友人たちと一緒に声楽のコンサートを開いていたことがあります。
毎年、次のコンサートでは何を歌おうかと、いろんな楽譜を見たりCDを聴いたりしていました。ある年、ドーン・アップショウのCDを聴いて、ある歌にとても興味を持ちました。
Joseph Schwantner作曲 Black Anemones(黒いアネモネ)です。

ドーン・アップショウ(Dawn Upshaw)のCD「ホワイト・ムーン(White Moon)」に収められていました。

日本では楽譜が出版されていないので、輸入楽譜の専門店に楽譜を取り寄せてもらいました。送られてきた楽譜を見て、この曲がもっと好きになってしまいました。
Blackanemones1    Blackanemones2_2
近くで見ないとわからないくらい、きれいに手書きで書かれた楽譜です。普通のサイズの楽譜にすると読みにくいためか、変形の横長サイズになっています。
普通の楽譜と比べると、こんな感じです。
Twopoems

結局、伴奏者の負担があまりに大きかったので、この曲を演奏会でうたうことはありませんでした。でもこの楽譜は、わたしが収集している楽譜の大切な一冊になりました。

もう一つ、フルートによる演奏もどうぞ。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2014年10月17日 (金)

N.T楽譜

福田楽譜から徒歩5分ほどのところに、聖徳太子が建立した四天王寺があります。
毎年春と秋の2回、四天王寺の境内では「大古本祭り」が開かれていて、結構たくさんの人が本を探しにきます。ここ数年、わたしも古本市があるたびに、何か面白そうな本がないかな、と見にいっています。先週末に開催された今年秋の古本祭りにも、散歩がてらに行ってきました。

今回の掘り出し物はコレでした。
「兵庫の音楽史」著者:八木真平 発行所:神戸新聞出版センター

兵庫県の音楽事情を解説した本であり、特に明治以降に同県で活躍された音楽関係の方々について詳しく書かれていました。読んでいくうちに、「N.T楽譜」という楽譜についての解説を見つけました。

わたしは古い楽譜を見るのが好きで、この種の古本市やオークションで気に入った楽譜を見つけると、買ってしまうことがあります。それほどたくさん古楽譜が集まったわけではありませんが、その中でも大正や昭和の初め頃の楽譜が「お気に入り」です。この時代には小さな楽譜出版社がたくさんあったようで、わたしが知らない出版社の楽譜があれば手に入れたくなります。集めた楽譜の奥付を見ていると、今でも営業している楽譜出版社もありますが、もう今は廃業しただろう楽譜出版社も見つけることができます。

「兵庫の音楽史」を読んでいるうちに、そうやって以前買い求めた楽譜の中に、「N.T楽譜」という出版社の楽譜があったのを思い出しました。
その古楽譜を取り出してみると、表紙の一番下には「大阪音楽学校楽友會出版部」とあり、題名の上に「N.T楽譜」と大きく記されています。
Nt1    Nt2

「兵庫の音楽史」には、「N.T楽譜」について、このように書かれていました。
「・・・この大阪音楽学校(注:現在の大阪音楽大学)設立前後から、二人は(注:永井幸次、田中銀之助)作品を「NT楽譜」として大阪で出版した。曲はいずれも明るい感じのもので、大変親しみやすいものだったので、多くの人たちに愛唱された。この楽譜出版による利益は、ほとんど大阪音楽学校の初期の運営資金にあてられていた。」
永井幸次は、のちに大阪音楽大学の学長となる方です。

おそらく、福田楽譜も同じように小さな楽譜制作会社だし、個人がやり始めた楽譜出版社に興味があるのかもしれませんね。わたしが集めたいろんな古い楽譜も、またお見せ出来たらなあと思っています。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2014年10月10日 (金)

水曜日の皆既月食、みなさまご覧になられたでしょうか。
普段なら、帰宅して忙しくしている時間ですが、この日は特別に「月」を優先させることにしました。
ゆっくりと月を見ていると、こんな曲が心に浮かんできました。

フォーレ作曲 Clair de Lune(月の光)
ジェラルド・スゼーの演奏です。

ドイツ歌曲にも、美しい「月」の曲があります。
シューマン作曲 Mondnacht(月の夜)
ペーター・シュライアーの歌です。



これらの曲は、移調ピースでお求めいただけます。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2014年10月 3日 (金)

自筆譜

昨日、「モーツアルトの自筆譜がハンガリーで見つかった」というニュースを、興味を持って読みました。第三楽章があの「トルコ行進曲」として有名な「ピアノソナタ第11番イ長調K.331」なんですから、クラシック音楽に関心をお持ちであれば、興味津々だったんではないでしょうか?

楽譜浄書をナリワイにしていても、クラシック畑の有名作曲家の自筆譜なんて、めったに目にすることなどありません。でも、実はわたしには、ある作曲家の自筆譜を目にする機会があったんです(ちょっと自慢)。

そう、当社で販売しているファニー・メンデルスゾーンの「Das Jahr」の楽譜です。

ファニー・メンデルスゾーン(1805~1847)は、それこそ誰でも知っている著名作曲家フェリックス・メンデルスゾーンの実姉であり、女性作曲家のパイオニアでした。ファニーと彼女の夫が自分たちで描きおこした「清書譜」をベルリン国立図書館が所蔵していて、その楽譜を岡坂恭子さんが編集、校訂されました。 その楽譜制作・編集に福田楽譜が関わらせていただきました(「Das Jahr」は、福田楽譜のホームページからまたは電話にてご購入いただけます)。

岡坂恭子さんが持っておられたファニー自筆譜のコピーを初めて見たときには、その楽譜の美しさに見とれてしまいました。ファニーらが自分たちの親しい人に配ったのか、各曲のはじめには挿絵があり、一つ一つ彩色されていました。大切に作られた楽譜から曲に込めた作曲家の思いがつたわり、岡坂さんと共に楽しく楽譜を造り上げてゆくことができました。

これはそのときにコピーさせてもらった清書譜です。

1月                            2月                                               4月

Das1 Das2 Das4

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2014年9月 | トップページ | 2014年11月 »