歌劇「道化師」より鳥の歌~大空を晴れやかに~
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鳥たちはさえずりながら自由に、矢のように飛びまわっている。
雲と輝く太陽に立ち向かって、空の道を飛んでいく。
青さと輝きにあこがれ、大空に舞っているのを邪魔しないでください。
鳥たちも夢を持ち、金の雲の中を飛んでいく。
風や嵐が来ようとも、翼を拡げて戦うだろう。
雨や稲妻も、決して彼らをはばめない。
淵と海の上を飛んでいく。
たぶん、探すことのできない見知らぬ夢の国へ飛んでいくのだろう。
空の放浪者たち、力いっぱいはばたいて、そして行きなさい!
「世界音楽全集<声楽篇>アリア名曲集第6巻」より
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昨日は、大学時代の恩師の一周忌でした。
声楽を学ぼうと志した10代の終わり頃、初めてその先生にレッスンを受け、大学に入学してからも引き続き指導していただきました。自分が歌ったいろいろな曲に、先生との思い出があります。歌劇「道化師」の中のソプラノのアリア「鳥の歌」もその一つです。でもこれは、「歌わなかった」という思い出なのです。
大学3回生になり、モーツァルトのアリアもある程度歌い、プッチーニの曲も数曲レッスンしてもらったころ、先生から「何か歌いたい曲はない?」と尋ねられました。わたしが「"鳥の歌"を歌いたいです!」と言ったところ、「まあ、それはあなたには似合わないわね。あなたが歌うと、"小鳥の歌"になってしまうもの」と言われてしまいました。 わたしの声はとても軽い声だったので、「鳥の歌」を歌うには適していないと先生は判断されたのでしょう。それ以後、もう一度「歌いたいです」と言えなくて、結局「鳥の歌」のレッスンを受けることはありませんでした。
何度聴いても、心を動かされるところがあります。
「Che in calzi il vento e latri la tempesta,(たとえ風や嵐が来ようとも)」あたりから、小節ごとにコードが変わっていく不安な雰囲気の伴奏。そして、「Vanno laggiu verso un paese strano(たぶん、探すことのできない見知らぬ夢の国へ飛んでいくのだろう)」で不安な気持ちを打ち消し、 心を解き放つようなメロディと伴奏に変わっていく箇所では、広い大空を羽ばたいているような気持ちになります。
「鳥の歌」の楽譜は、福田楽譜の声楽移調ピースでお求めいただけます。
ヴェロニカ・ヴィラロエル (Veronica Villarroel)の演奏です。
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