受験のシーズン
そろそろ受験の季節がやってきました。
今はもう、パソコンで楽譜も文章も編集できるようになったので、入試問題はすべて学校内で作るようになったようですが、私はこの時期になると、「パソコン無き時代」に試験問題の版下を作った思い出がよみがえります。
ある大学では、試験問題を作るのに、福田楽譜が「出張浄書」をしていました。大学としては、学外に試験問題を持ち出すことを避けたいと思っていたようです。どんなことが起こって試験問題が漏れるかもしれませんから、そういうリスクを避けたかったんでしょうね。
試験を作成する日が来ると、私たちは大学まで重いミュージックライターやこまごまとした浄書の道具一式を運び、教室の一部屋で楽譜を作りました。即席の事務所を学校内に作るってわけです。もちろん、私たちは問題すべてを見ることができるわけではなく、あくまで楽譜部分の原稿だけを渡されます。(そうして私たちが作った楽譜のパーツは、あとで文章が書かれてある版下に、誰かが貼り込んだんだと思います。)
丸1日教室に缶詰になり(外へ出て行くことは、トイレ以外はダメ)、試験作成担当の先生たちが一同に揃う中で作成です。その日1日で仕上げないといけないので、予め五線を引いた用紙をたくさん持って行きました。(その頃は、烏口で五線を引いていたので、五線を引くだけでも時間がかかったんです)
時には、その場で急に、先生たちが問題を変更することもありました・・・。
などと、たいへん緊張を伴うもののように書いてしまいましたが、昼食には仕出し弁当も取っていただき、和やかなムードでお仕事をしていました。もちろん、こんな仕事をさせていただいたのも、大学と長いお付き合いをする中で信頼関係があってのこと、と自負しています。
| 固定リンク
「 福田楽譜あれこれ」カテゴリの記事
- 引っ越しました(2015.10.29)
- ガリ版刷りの楽譜(2015.04.23)
- 本の作り方(2015.03.24)
- サトウハチロー童謡集(2015.01.23)
- 受験のシーズン(2015.01.16)
コメント